1977年、ロンドン。
パンク・ムーヴメントが起き、そして2年で終息した。
しかしパンクはこのあと、いろんな姿、かたちをとって、スピリットとして今もつづいている。
たとえば、グランジ。
1990年代の初めから大きな支持を集めつづけているこの音楽は、パンクがなかったとして生まれ得たであろうか。

実はパンクの発祥は、アメリカのパティ・スミス、テレヴィジョン、ラモーンズなどの存在によって、1970年代前半にすでにあった。これは1950年代のビートニクス、それ以前のロスト・ジェネレーションからつづいてきたものだ。
ロスト・ジェネレーションの筆頭にあがるのは、やはりアーネスト・ヘミングウェイ(作家)であろうし、ビートニクスのそれはアレン・ギンズバーグ(詩人、詩集「Howl 吠える」など)、ナム・ジュン・パイク(現代音楽)、ヨーコ・オノ(音楽家)、ジャック・ケルアック(「路上」を名作としてもつ作家)、などの存在であろう。

「アメリカには文化がない」と口にするヨーロッパ人、殊に同じ英語圏のイギリス人には悪いが、アメリカには文化がある。
それを茶化すようにお洒落に、かっこよく洗練させるのがうまいのはやはりイギリスだ。
だから1977年、長らく続く不況や失業問題、はびこりつづける「No Future」の空気、それらとつながってパンク・ムーヴメントはロンドンで起きた。 セックス・ピストルズ、クラッシュ、ジャム(本人たちはパンクではなくモッズだと主張しつづけている)などの陰にいて、皮肉でブラックの効いた活動を続けるダムドがいる。まあいうなればイギリスの悪ガキといったところだ。
しかし音楽は、雑音のなか、手探りで聴いていると、美しくもの悲しい旋律をもっていることに気づく。
そして、たまらなく、かっこいい。


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