一触即発 四人囃子

このアルバムほど、日本発の作品であり、洋の東西を問わず、名盤ということのできる一作はないのではないか。
日本語を理解する人が、日本語の曲を聴くとき、どうも気になるのは、その歌詞の部分である。

歌詞がどうしてもわかってしまうから、説明されているような気がするのだ。音楽は説明しない。感動させられるときは、「一触即発」である。
四人囃子の「一触即発」は、ごく日常的な歌詞がつらなり、なつかしいような、日本の風景が描かれている。だからこそなのか、わかりやすいのに、説明されない。

シュールで圧倒的な音楽の美しさ。
高校時代からのバンドがそのままアルバムを発表した、というようなことがライナーノーツに書いてあるが(保科好宏)、「日本のプログレ」といわれながら、革新的ではあるがその細部が美しく融和して、すばらしい作品に仕上がっている。
このアルバムは1974年の作品。
古びることなく、美しい世界観に浸れる一枚。永遠性をもつ作品だといえるだろう。

一触即発 作詞:末松 康生 /森園 勝敏 作曲:森園 勝敏

きもちのいい夕方に
ボタンの穴から
のぞいたらくしゃみなんて 出そうになって
アー空がやぶける
アー音もたてずに アーア・・・・・・

あの青い空がやぶけたら
きっとあの海も
せり上がってくるにきまってる
アー空がやぶけて
アー声もきこえない アーア・・・・・・

あの青い空がやぶけたら
きっとあの海がせり上がって
そうなったら地は走り 風はおちてしまう
アー空がやぶけて
アー声もきこえない アーア・・・・・・

アー空がやぶけて アー声もきこえない アーア・・・・・・

そうなったら
もうおしまいだ
だってオレはキンピカの時計をもって
よろこばなけりゃならないんだ

もうちっともこわくなんかないさ
あの空のさけめから
あいつが降りてきたって
もうとってもいい気分さ
キンピカの時計がいったいどうしたって
みかん色の雲がすごい速さで
みんな乗せて
みどり色の星へと


おまつり

やっぱりおまつりのある街へ行ったら泣いてしまった

作詞:末松 康生 作曲:森園 勝敏

なにもすることがなくて
なにもすることがなくて
おろしたてのバラ色のシャツきて
おまつりのある街へ
その街にはいつも おまつりがあるのさ

みんな輪になっておどる
みんな輪になっておどる
おれもおどろうとしたけど
誰かの足をふんづけて
しょうがなしにみんなの匂いを
かいでまわったのさ

みんなで一つづつ 歌を唄うことになって
みんなはもちろん 彼女のことを歌ったのさ
おれの番がやってきて
あのころのことを唄おうとしたけど
文句を忘れてフシだけで唄ったのさ
そしたらみんなおこって
おれの頬をなぐるつけたのさ

なにもすることがなくて
なにもすることがなくて
おろしたてのバラ色のシャツも
もうやぶれそう
やっぱりおまつりのある街へいくと
泣いてしまう

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