The Whole of the Moon


ザ・ウォーターボーイズの Vo, G のマイク・スコットは、エディンバラ生まれの吟遊詩人です。
1980年代半ば、マイク・スコット率いるウォーターボーイズは、アルバム This is the sea で注目を浴びました。このアルバムからは、The whole of the moon というヒット曲も発表されています。
彼らはこの作品より前 82年から活動していましたが、なかにはジャズの一曲のような、A girl called johnny などの名曲もあります。
マイク・スコットは、スコットランド人であり、哲学をしっかりもった人です。Fishemans blues から、彼のVo. は変わったといわれています。

哲学的なのは、”水” に対する思想。すべてが水から発してゆく、ということは、バンド名にも “水” ということばをあたえているくらい、彼にとってそれは重要なものであるといえます。一番最初に最も大きな影響を受けたのは、初期ニューヨーク・パンクの女王といわれるパティ・スミスであると語っています。(パンクはロンドンでのムーヴメント以前に、ニューヨークでビートニクスなどからのつらなりがすでにあった)

アルバムはたくさん発表されていますが、ライヴも彼らの重要な活動のひとつです。
最初はエディンバラから、次にロンドンへ拠点を移し、その後はアイルランドのダブリン、今では拠点を再びロンドンに移して、地味ではあるけれど、確実にいい音楽をつくりつづけています。大ヒットアルバムのあと、彼らのそういうスタイルに共感して今でも愛しつづけているファンも多くいます。
マイク・スコットのある種のかたくなさは、ひたむきさでもあり、最初に持った音楽への敬愛の念、そして静かなパッションを秘めながら、大ヒットから40年経って、しぶさとしぶとさにもうまく変化し、音楽にちょっぴりこだわりのある人々から、支持されつづけています。
殊に英国人にファンは多く、スコットランド人としての、マイク・スコットの誇り高さも愛されています。
最近のウォーターボーイズを Youtube でみて、彼らの素敵な美しい老け方にまたうれしくなってしまいました。しぶいバンドです。

A girl called Johnny

Fisherman’s Blues


なんとなく眠れなくなってしまった真冬の真夜中。
痛いくらいに冷え切った空気。
空には霞がかった雲と煌々と光る欠けた月。
シーンと静まりかえった世界。
世界中で今生きているのは僕だけかもしれない、なんて気分がふと してしまうような真冬の真夜中。

ぼくは翼について語っていた
きみは空を飛んでいた
ぼくは考えに考えていろいろ試してみたけれど
きみはとっくに知っていた
ため息をつくぼく
あくびをするきみ
ぼくには三日月しか見えていなかったとき
きみは月のすべてを見ていたんだ


ポケットの中の松明
かかとに吹く風
梯子を上り
もっと高いところへと
手を届かせるためには どうすればいいのかと気がつく
ずっと遠くへ
あっという間に
きみには月のすべてが見えていた

一角獣、大砲、宮殿、埠頭、トランペット、塔、長屋、広い海には涙がいっぱい
旗、ぼろきれ、渡し船、剣、スカーフ
星空の下にある、すべての夢と幻影たち

きみは帆に風を受けて梯子を上った
彗星のようにやってきてその軌跡をなびかせる
とても高く
とても遠く
あっという間に
きみには月のすべてが見えていた

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